top of page

​高卒就職市場相場情報

 高卒就職問題研究のtransactorlabです。

 

 若者人口が減り、若い働き手の稀少性が高まっているにもかかわらず若年層の賃金の上昇は極めて緩やかです。若い世代にもっと多くのお金が廻るようにしなければ我が国の経済は縮小し続けます。そして税収が減り、安定した国家システムの維持が困難になるでしょう。

 

 私が問題視しているのは、高卒就職市場において求人倍率が高騰しているのに初任給の大幅な上昇が起きていないという事実、つまり「市場の不健全さ」です。

 高卒の就職希望者の割合は全体の15~20%と小さいものですが、高卒初任給は多く企業の賃金体系の基盤であると同時に、地域ごとの最低賃金算定に大きく影響します。ゆえに、高卒初任給上昇の鈍さは全ての労働者賃金上昇の足かせであると言えるでしょう。

 なぜなのでしょうか?何が若者の賃金待遇向上を抑制しているのでしょうか?私は何年も考え続けてきました。

 

 ひとつは、高校生の保護を目的として形成されてきた高卒就職独特のルールです。人が多く求人倍率が高かった時代、イス取りゲームが激しかった時代は保護の効果はたしかにあったでしょう。しかし、少子化・人口減少が進行し、超売り手市場となって以降は、若者ではなく人件費を抑えたい雇用側の味方になっているように思われます。

 もうひとつは、私たち大人の中にある古い常識、「高卒ならこれぐらいじゃないの」という感覚です。それは昭和の時代、人口増加の時代、イス取りゲームが激しかった時代に形成されたもので、年配の方ほどその傾向が強いのではないでしょうか。

 そして、これらの改善を遅らせているのが情報の不足です。高卒市場には、閉鎖的であるという特徴があります。それは前述のとおり、高校生や教育現場の保護の目的で長年機能してきましたが、求人情報に限られた範囲の人しかアクセスできない状況を作ってしまいました。とくに不足しているのは待遇の相場に関する情報です。それは求職者が志望先を選ぶ上で極めて重要な判断材料なのですが、高卒就職の場にはないのです。

 それはまた、求人事業主にも不利益を生んでいます。激しい人材獲得競争の中、応募者をキャッチするにはどれぐらいの待遇を提示する必要があるのか見当がつかないのですから。令和2年から3年の間、全国の公開高卒求人のうち充足したと思われる求人はわずか1割でした。

 この状況は様々な社会的損失を生んでいるものと思われます。

​ この問題の解決に少しでも貢献したいと考え、調査活動を行っております。

 本ホームページでは、都道府県ごとの待遇相場や充足状況などの調査レポートを提供しています。

 自由にダウンロードできますので、どうぞご活用ください。

​ 高校生の就職支援や求人待遇条件の見当資料などに使っていただければ幸いです。

bottom of page