新卒採用「社長、最賃ギリギリじゃ無理です」
- transactorlab
- Mar 21, 2021
- 2 min read
高卒就職問題研究のtransactorlabと申します。
田舎の県立高校で進路指導主事をしながら個人的に調査研究をしております。高卒就職問題の実情を知っていただきたく、発信を始めました。
全国の公開高卒求人9万件余りを全部集めて分析した結果をこのホームページで無償公開しています。高卒新卒採用をお考えの事業所の方、ぜひご覧ください。
前回に続き、タイトルをちょっと挑戦的にしてみました。少しでも多くの方に実情を知っていただくためです。
「社長、最賃ギリギリじゃ無理です」とは、高卒求人の待遇のことです。昨年7月から今年2月にかけて全国の公開高卒求人9万件余りを収集・分析を行いました。9万件のうち8万件は昨年12月から今年2月にかけて集めたものです。高卒採用がだいたい落ち着いた時期以降も公開が続いていた求人票群ですので、ほぼ全て売れ残るものです。

上のグラフは、一枚ずつの求人記載の月給がその地域の最低賃金レベルよりどれぐらい上かでグループ分けしたものです。これを見ると最低賃金レベルプラス30%以下のグループが全体の6割を超えています。
この最低賃金レベルとプラス30%の月がどれぐらいかというと
最低賃金が最も低い地域 125,000円 ~ 162,500円
最低賃金が平均的な地域 142,000円 ~ 184,600円
最低賃金が最も高い地域 163,000円 ~ 211,900円
最低賃金月給はこのような計算式を用いています。
地域別最低賃金×7.25×21.7
(7.25は平均的な1日の労働時間で、21.7日は平均的な月間労働日数です。実際の労働時間や日数は事業所ごとに異なりますので厳密な計算ではないことをお断りしておきます。また、賞与については考慮に入れておりません。)
高卒求人全体を見渡すとこのような状況です。これらの月給が妥当かどうかの判断はお任せします。
しかし、この条件で高卒新卒を獲得できるかという観点から見るとどうでしょうか。
公開高卒求人のうち充足できるのは全体の1割程度しかないというのも現実です。
高卒就職市場には相場を示す情報が不足しています。とくに求人事業者がその情報の流れの外に置かれています。そのために市場に公正な競争が働いておらず、様々な社会的損失が生まれています。私たち教職員は入手することはできますが、それとて断片的かつ紙ベースの情報でしかありません。
この状況をなんとかしたいと思い、発信をしているのであります。
拡散、共有にご協力ください。
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